僕の考えた虹伝説Ⅱ
極北の地に追いやられていたために、回りのあらゆるものを食べて色を吸収出来る能力を得た8人目の虹食い鬼、ノーカラー。風の便りに7人の兄達の死を知り、故郷に戻ってきた彼を出迎えたのは、膨大な色の宝庫、食べ切れないほどのご馳走の山だった。
ノーカラーは狂喜乱舞して手当たり次第に周りの色を食べまくった。長年食べる色のない世界で飢えに苦しんできた彼の食欲は、すぐに暴走を始めて、押さえ切れなくなった。手に触れるものは何でも口に放り込み、はじけるような赤の味や、ふくよかな緑の味を堪能した。今まで想像も出来なかったような幸福だった。何度頬をつねってみても、夢の中にいるとしか思えなかった。
周りの色はたちまち食べ尽くされて、なくなった。それでもノーカラーは困るということがなかった。その場の色を食べ尽くしたら、別の場所に移ればいい。世界はどこまでも広く、どこに行っても大量の色が山積みになっていて、おなかがはち切れるくらいに食べることが出来た。そうやって行く先々で色という色を根こそぎ食べ尽くすと、後には灰色の地面だけが残された。
そうして次々と灰色の地面を広げながら、ノーカラーはどんどん太っていった。お腹の幅が背の高さを超える頃には、歩くのが面倒になってきて、寝転んだままゴロゴロと転がって移動することを覚えた。あらゆる色を手当たり次第に食べ続けたお陰で、白かった体はいつの間にか真っ黒になっていた。しかし、それでも食べるのを止めることはできなかった。
真っ黒い、山のように大きな球体――それが、今のノーカラーの姿だった。彼は太りすぎて動かせなくなった顔の上で、目玉だけをキョロキョロと動かして、色のかけらを探していた。いまや、周囲は見渡す限り灰色の地面しかなかった。あれほど周りにあふれていた色はどこを見回しても見当たらなくなっていて、お腹を鳴らしながら何日も探し回った挙げ句に、ようやく色あせた葉っぱを一枚手に入れられる、という有様だった。








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